朝顔

朝顔はどこから来たのでしょうか?

朝顔はヒマラヤ山麓原産と言われる熱帯植物で(イネと同じ)、我が国へは奈良時代の終わり頃、遣唐使によって中国の天壇系朝顔が下剤として伝えられました。

江戸時代になると観賞用として品種改良が進みました。元来、癒合した5弁花でピンポン玉程度の青い花だったそうですが、突然変異で7弁花となり花が巨大化しました。日本に来て生まれ変わったと言っても過言でないほどで、それが朝顔の英語名 'Japanese morning glory' の語源になったと言われています。

朝顔は開花前日まで雌しべが雄しべより長いのですが、開花の際に雄しべが伸びて雌しべを抜きます。狭い筒状の部分で起こるため、極めて自家受粉しやすい花です。しかし、7弁花となり筒が大きくなったせいか稔性が低下し、江戸時代以降の大輪系朝顔は商業ベースではあまり栽培されていません。

趣味家の方が朝顔会を作り、種の維持や普及に努めています。しかし、最近、全国各地の朝顔会の催し物を訪ねると、高齢者ばかりが目立ちます。

朝顔は生きた文化遺産。私たちの先人の努力の賜物です。一層の普及を願ってやみません。

朝顔に適した用土は?

種まき用には、川砂:バーミキュライト=1:1を使います。

発芽後は、赤玉土:腐葉土:発酵バーク堆肥:川砂:バーミキュライト:燻炭=2:2.5:2.5:1:1:1を使っています。

オルトラン粒剤を一つまみ加えると、ヨトウムシ対策になります。

溶リンは赤玉土に接触すると吸着されてしまうので、加える場合は最初に燻炭と混合してから、他の用土と混合します。

実際には、花壇用の土で十分栽培できます。

朝顔の種はどのようにしてまいたらいいですか?

熱帯原産であるため、最低気温20℃以上で発芽します。本州の太平洋側では、GW明けが種まきの好期です。

種の皮が硬いので、やすりや爪切りで少し傷をつけておくと発芽しやすくなります。さらに水に1日漬ける人もいますが、土中の水分で十分なので必要ありません。

朝顔の種はスイカのような形をした黒色の種(一部黄色の品種もある)ですが、端の方にへそのような小さなくぼみがあります。芽が出る重要な部分なので決して傷つけないようにします。また、植えるときはへそを上向きに植えます。逆にするともやしのような根が地上に出てきますが、直ちに逆にして植え直します。

1~2週間で発芽します。苗床に種をまいた場合は、良い苗を選択して6㎝ポットに植え替えます。

双葉が展開するまでに行えば、太い根が一本出ているだけで根毛はないので、容易に植え替えができます。

すっと抜き取り、穴を開けておいたところに挿し入れ、周囲から土をかけ、最後に鉢底から流れ出るまで水やりをして終了です。

花期をずらすために、4月初めに種まきをするとどうなりますか?

最低気温15℃くらいに達していると発芽することがあります。また、室内に置いて発芽させることもできます。

しかし、低温のため生育が悪く、あまりうまく行きません。

種に傷をつけ水に1日浸して種まきしようとしたところ、種から白いものが飛び出していました。ダメになってしまったんでしょうか?

急激に水分を吸収したために、組織が膨張し、固い種皮から飛び出し、組織がつぶれています。

土中に植えてもダメなので、廃棄処分しましょう。

朝顔の種の前処置は種を傷つけるだけで十分なので、水に漬けるのと併用するのはやめて下さい。

朝顔の種が混じってしまいました。区別する方法はありますか?

朝顔には稀に黄種の品種があります。その場合は黒種の品種と区別ができます。

黒種の品種同士では見分けが困難ですが、よく見るとある程度の特徴のある品種もあるので、確実ではないですが推測できることもあります。

このように種では区別が困難ですが、発芽したときの茎の部分でもっと確実に区別できることがあります。

朝顔の軸と言われる部分で、花の色が反映されます。

例えば、濃色系の花なら軸の色がそのような色に染まるし、淡色系の花なら軸の色は緑色です。茶色花なら、茶色に染まります。

筋花や吹雪紋であれば、よく見ると、そのような柄が入っています。

朝顔は挿し芽で増やせますか?

琉球朝顔(オーシャンブルー)は、沖縄原産の宿根草の性質を持つ朝顔で、挿し芽で増やすことができます。

しかし、一般的な朝顔は一年草であり、挿し芽や葉挿しでは増やせません。種から作る以外に方法はないです。

朝顔の苗を花壇に植えたところ、バッサリ切られていました。原因は何ですか?

おそらく、ネキリムシの仕業でしょう。ヨトウムシ(夜盗虫)の所業かもしれません。

https://agri.mynavi.jp/2020_10_07_135647/

6㎝ポットに植え替えてからどうなりますか?

双葉が展開して、大きくなります。立派な双葉をつけることが、その後の生育に大きく関係します。

種皮を傷つけるときに深く切り過ぎると、双葉まで切れていて生育が悪化します。

また、植え替えにもたついたりしていると生育が悪化するので注意します。

しばらくすると本葉が出てきます。

最初は、ぐしゃぐしゃ出てくる感じでこんもりと茂り、蔓は出ません。

約1ヵ月で蔓を伸ばしてくるので7号鉢や花壇に移植します。

発芽した後は、液体肥料を潅水代わりにやると生育が良くなります。

ハイポネックスや住友化学の花工場の1000倍液を使うといいでしょう。

朝顔の水やりはどのようにすればいいですか?

一般的な方法、つまり土の表面が乾燥してきたら水やりをします。

鉢底から水が流れ出るまでしっかりとやります。

種をまいてから発芽するまでは、根が浅いところにあるので、あまり乾燥させないように注意します。

水不足に弱く、真夏ではよく保って1日です。毎日の水やりが欠かせません。もっとも、雨天のときはスキップします。

施肥は元肥に加えて、追肥をします。追肥は水の代わりに液体肥料を与えてもいいです。

朝顔はいつ頃咲きますか?

7月の終わりから10月頃まで次々と咲き続けます。

なお、日本朝顔は午後になるとしおれることが多いです。

もう8月過ぎなのに朝顔が咲きません。原因は何でしょうか?

生育が悪いと花がつきません。

葉ばかり茂って、花がつかない場合は、チッソ肥料過多が疑われます。

朝顔は短日植物であるため、街灯が近くにあるなど夜間明るい場合は、花がつかなくなることがあります。

朝顔の種はいつ頃できますか?採種の方法、保存の方法は?

暑い時期は結実せず、種ができるのは9月以降です。約1ヵ月で熟して果皮が茶色くなります。

実が茶色くなってから収穫します。結実から約1か月かかる間、生かさないといけないので当然水やりも続けます。種が次々結実すれば、期間はずれて長くなります。

但し、夏に比較すると蒸散量は減少するので、量は減らしていきます。土の表面が乾いたらやるの原則通りでいいです。

なお、果皮が茶色くなっているのにいつまでも放置していると、カビが生えて種がダメになったりするので、さっさと収穫します。特に秋の長雨が続くと注意が必要です。

収穫した種は1週間ほど日陰干しした後、シリカゲル2~3gの小袋とともに小さなプラスティックパックなどに入れて保存するといいです。

室温では5年、冷蔵庫(4℃)で30年保存できます。冷凍庫(0℃)に入れると凍結して死んでしまうので注意して下さい。

朝顔のこぼれ種が発芽しました。室内に取り込んだら栽培できますか?

朝顔は熱帯原産の植物なので、20℃以上で生育します。暖房をすれば、温度に関しては栽培条件を満たせるかもしれません。

しかし、朝顔は日照を好む植物であり、秋から冬にかけては日照不足が予想されます。

また、短日植物であり、日長が次第に短くなる時期ではすぐに花芽がついてきます。つまり、十分成長せず、小さくて貧弱なまま花が一つ咲いて終わりといったことになることが多いです。

そうさせないためには、植物育成ライトを使って、十分な日照を確保し、しかも2か月ほど毎日少しずつ照射時間を長くする必要があります。

十分成長してきたら、今度は照射時間を少しずつ短くして、花芽を形成させます。

そういう植物園並みの栽培ができれば、冬に咲かせることもできるでしょうが、かなりの困難を伴いそうです。

宿根朝顔は種ができないと聞いたことがあるのですが、どうやって子孫を残しているのでしょうか?

野生の宿根朝顔(ノアサガオ)は自家不和合性があり、自分の花粉では受粉出来ないので、一株だけでは種子は出来ませんが、別の株が近くにあれば種子は出来ます。

しかし、品種改良されたものでは同じ品種のものが二つあってもソメイヨシノに種子ができないのと同じ理由で種子は出来ません。

また、品種改良されたものを実生すると性質が変わるので、普通は挿し木や株分けなどで増やします。

 

朝顔の病害虫

病害虫は少ないですが、ヨトウムシ、スズメガ、ナカジロシタバ、ハダニ、スリップス、ヨツモンカメノコハムシなどの害虫、白さび病などの病気に注意します。

エビガラスズメ

スズメガの幼虫は、尾角という角(つの)のような突起があるのが特徴です。スズメガは種類によって食性が異なりますが、朝顔、サツマイモなどのヒルガオ科の植物を食べる中で最もよく見られるのがエビガラスズメです。

幼虫の体色は時期によって異なります(→みんなで作る日本産蛾類図鑑)

花、葉、種のいずれも食べます。かなり大きくなり大食漢のため、2、3匹いると丸裸にされかねません。

手榴弾のような糞を見つけたら、必ずいるので見つけて下さい。

花の軟らかい部分を食べて星形になっていると、中に潜んでいることがあります。

殺虫剤の直接噴霧ならさすがに死にますが、薬剤の葉面への散布程度では効果がないので、捕殺した方が早いです。

ランネートを使用していますが、ベニカケムシエアゾールなども有効ではないかと思います。

ナカジロシタバ

芋虫で尾角がない場合、多いのがこの種です。

成虫は地味です(→みんなで作る日本産蛾図鑑)

対処方法はエビガラスズメに準じます。

ダニ

ハダニ、ホコリダニなどがつきます。ダニは植物の体液を吸います。

虫眼鏡で見るとダニが見えることもありますが、かなり小さいので視認できないこともあります。

新葉を中心に食害され、古い葉は影響が少ないです。

新葉がいじけたようになり、成長が悪くなります。

写真のような葉が蔓の先の方に見られたら、ダニが見えなくても、殺ダニ剤を散布してみて下さい。

ダニは昆虫ではなく、節足動物なので、殺虫剤は効きません。

カネマイトフロアブルやダニ太郎がお勧めです。

耐性がつきやすいので、できれば数種類用意し、毎回異なる薬剤を散布します。

1週間に1回、3回ぐらい散布すると根絶できることが多いです。

スリップス

アザミウマとも言います。

小さい虫で飛びます。

幼虫は葉の内部に侵入し、葉緑体を食べます。

葉脈を残して葉がスリガラス状になります。

幼虫は葉の内部にいるので、浸透性の殺虫剤を散布します。

卵を地上に産み落としますが、殺虫剤が効かないので、1度では退治できません。

1週間ごとに3、4回散布すると、だいたい収まるようです。

ランネートを使っています。

ヨツモンカメノコハムシ

ケムシのようで、ケムシでない。ダニのようでダニでない。

およそ地球上の生き物とは思えない、その不気味な形状からして、カメノコハムシの幼虫を疑います。

カメノコハムシは種類によって食性が異なりますが、アサガオなどのヒルガオ科の植物を食べるのは、ヨツモンカメノコハムシだと思われます(→病虫害・雑草の情報基地)

こんなの見たら、夜眠れないですよね。

経験例はないのですが、スミチオンが有効だそうです。

ヨトウムシ

ヨトウガの幼虫です(→Wikipedia)

夜盗虫と呼ばれるように、昼間は土中にいて夜間活動します。

朝顔の軸をよく狙って食害するので、致命的になりやすいです。

オルトラン粒剤を土に混ぜておくと効果があるそうですが、しぶとい虫です。

地上に出てきたところを捕殺するのが確実な方法ですが、夜行性なのでなかなかやっかいです。

できるだけ土の再利用を避けて、最初から侵入しないようにするのがいいです。

白さび病

高温多湿で風通しが悪いと発生しやすい。

糸状菌(カビ)が原因(→あいち病虫害情報)

葉の裏に白い小さなイボ状のふくらみができ、表側には薄黄色の斑点が現れます。

病斑が成熟すると胞子堆ができて、胞子がバラまかれます。

環境の改善が重要で、風通しを良くする。

病変の出現した葉が少ない場合は、除去すると効果的です。

モンカットフロアブルがよく効きます。

趣味で栽培している朝顔の種を分譲しておりましたが、現在休止しております。

 

 

紅色系

鶏紅
左京一笑
花一番
  黄斑入蝉葉紅日輪抜丸咲大輪
赤味が強い
黄斑入蝉葉淡美紅無地日輪抜
パステルカラー調
     

紅吹雪系

吾妻絞
賀茂の紅絞り
彩華錦
黄斑入蝉葉紅吹掛絞日輪抜
結実悪い
  黄斑入蝉葉紅吹雪縞丸咲大輪
     
桜吹雪
下総夏祭
大子3号
黄蝉葉紅吹雪   青斑入蝉葉紅色覆輪吹掛絞
百合のような花、結実極端に悪い
     
   
初舞台
   
黄斑入蝉葉紅縞吹雪
同じ株でも花柄のバラエティが多い
   
     

紅覆輪系

燭光
   

黄蝉葉紅覆輪日輪抜
葉は小形で赤縁

   
     

桃色系

吉平
平安の美
万代桃泉
黄斑入蝉葉桃無地大輪
株が小さいうちから大輪となる
黄斑入蝉葉桃無地
種子は黄種とまではいかないが褐色を帯びる
青斑入蝉葉桃無地
葉は細め
     
 
御幸の誉
吉野
 

黄斑入蝉葉薄桃刷毛目絞

黄斑入蝉葉桃無地
斑入りが美しく、葉の観賞価値が高い
 
     

桃覆輪系

新戸部の誉
天下一
 
黄斑入蝉葉桃霞深覆輪丸咲大輪 黄斑入蝉葉桃覆輪丸咲大輪  
     

青色系

暁の夢
深淵
   

黄斑入蝉葉濃浅葱無地陽光抜筒白
神秘的な色調、茎は細い

     
   
紫の上
   
黄斑入蝉葉紺無地日輪抜筒白黄色種子    
     

青吹雪系

秋楽
伊勢の漣
永寿楽
黄斑入蝉葉紺吹雪縞丸咲大輪 黄斑入蝉葉浅黄吹雪丸咲大輪 黄斑入蝉葉赤紫吹雪
     
輝55
下総雨情
せせらぎ
黄斑入蝉葉紫吹掛絞 紫吹掛絞  
     
初瀬
初霜
藤の戸

黄斑入蝉葉浅葱縞黄色種子

黄斑入蝉葉浅葱色吹掛絞大輪  
     
   
藤娘
   
     
     

青覆輪系

薄化粧
新世界
遠霞
  黄斑入蝉葉浅葱霞覆輪陽光抜筒白 黄斑入蝉葉藤霞覆輪陽光抜筒白黄色種子
     

茶色系

団十郎
杜の秋月
 
黄蝉葉濃栗皮茶丸咲大輪 黄斑入蝉葉茶刷毛目絞丸咲大輪  
     

茶吹雪系

十六夜
長寿
 
黄蝉葉茶吹雪    
     

茶覆輪系

茶園の月
茶園の月 車紋り変異
 
黄斑入蝉葉茶覆輪丸咲大輪    
     

黒鳩系

月夜野
   
黄斑入蝉葉黒鳩縞吹雪陽光抜丸咲大輪    
     

白色系

白妙3号
雪月花
 
黄斑入蝉葉白無地

黄斑入蝉葉白無地

 
     

変化朝顔

染分
松島
弱渦:笹:牡丹
正木系
並葉紫染分丸咲
正木系
並葉青時雨絞丸咲

出物系
弱渦(親木)[9/16] 弱渦・笹[3/16] 弱渦・牡丹[3/16] 弱渦・笹・牡丹[1/16]
テスト撒きはしておりません

     

肥後朝顔

磯打波
磯千鳥
春月
青斑入千鳥葉極淡青色無地丸咲
蕾、咲き終わりは桃色を帯びる
青斑入千鳥葉空色地白絣丸咲
同じ株でも花柄のバラエティが多い
青斑入千鳥葉淡桃無地丸咲
肥後朝顔の中では花が比較的大きい
     
白波
龍田川
司紅
青斑入千鳥葉白無地丸咲 青斑入千鳥葉桃色丸咲
微妙な花色
青斑入千鳥葉紅無地丸咲
黒色種子、黄色種子、相互に変化
     
司紅 淡色変異
司紅 茶色変異
藤衣
青斑入千鳥葉淡桃無地丸咲
司紅から分離
  青斑入千鳥葉藤色丸咲
     
 
常盤山
法衣
 
青斑入千鳥青色日輪抜丸咲 青斑入千鳥葉黒鳩丸咲  
     

 

 
 
 


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